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掲載日:25.03.05
国土交通省/トラック運送業の多重下請構造の解消に向け、論点を整理
国土交通省に設置された「トラック運送業における多重下請構造検討会」は、2月5日の第3回会合で、多重下請構造の解消に向けて論点を整理しました。現在トラック運送事業者のみに課せられている各種規制的措置を、利用運送事業者などにも適用拡大するなどの方向性が示されました。
前回までの議論を踏まえ、論点を次の3つに整理しました。①上流を起源とする規律ある取引環境の形成、②下流における浄化作用の強化、③上下流をつなぐ取引ルートの拡大、の3点です。
①について、利用運送事業行為を行う者に対して、「商慣行を抜本的に是正するに足る規制的措置を課すこと」が必要としました。特に、荷主に対して一義的な運送責任を負う元請事業者は、多重構造全体の健全化のために中心的な役割を担うことが適当であるとしています。手数料の多寡については、付加価値に相当な幅がある実態から、一律な規制にはなじまないとしました。
②について、下流において、安価で条件の悪い仕事を引き受ける悪質な事業者を市場から退出させるため、適正な事業運営が困難な運賃水準での取引を減少させるための措置を取るべきであると指摘しました。違法白トラ行為やその利用を防止するため、荷主等の発注者側においても、遵法意識の醸成を図る措置が必要としています。
③については、多重構造を介さず安定的・継続的に取引できる環境が必要であり、輸送需要の波動を吸収しつつ、輸送能力や条件に応じた適切な受発注マッチングを行う仕組みの整備促進や普及を図ることが必要としています。マッチングを行う仕組みやサービスが目指すべき方向性として、一定以上の再委託の禁止、不当に低い運賃での契約を防止するためのルール、利用者のスクリーニングや与信管理を行うこと、ルールを逸脱する行為に対する指導などが必要であるとしました。こうした取り組みは、共同輸送や中継輸送の促進、積載効率の向上につながり、荷主へ中長期的なメリットをもたらし、物流全体の効率化にも資するとしています。