国土交通省の令和7年度(2025年度)予算、令和6年度(2024年度)補正予算が、それぞれ昨年末に決定しました。特に補正予算の物流関係は2年連続の大幅増額となりました。モーダルシフト、物流GX、物流DX、多様な担い手確保・育成などの項目で自動化・省力化機器への投資を促しています。
〇モーダルシフト、物流GX、物流DXなどを支援
同省の25年度(令和7年度)予算額は、一般会計5兆9528億円(前年度比1.00倍)、財政投融資1兆3292億円(同0.64倍)などです。一般会計のうち公共事業が5兆2753億円(同1.00倍)、非公共事業6775億円(同1.02倍)。令和6年度補正予算は、公共事業1兆9126億円、非公共事業3352億円です。
公共事業のうち、空港整備では、成田空港の機能強化に補正予算を合わせ1703億円を投入し、B滑走路の延伸、C滑走路の新設、新貨物地区整備に充てます。港湾整備では、モーダルシフト促進に向けて、内航フェリー・RORO船ターミナル強化に115億円を計上しました。
非公共事業のうち、物流・自動車局は、つぎに挙げる施策を推進します。
「物流の革新や持続的成長に向けた中長期計画を踏まえた取組の推進」として、まず「多様な輸送モードも活用した『新モーダルシフト』の推進」を挙げました。地域の産業振興とも連携しながら大型コンテナ、海運シャーシ、ダブル連結トラックの導入や物流拠点の整備などを支援します。
「物流GXの推進」では、FCV(燃料電池)トラックや水素スタンドなど再生可能エネルギーを活用するための充填・充電設備の導入を支援します。
「物流DXの推進」では、自動運転トラックによる幹線輸送の実証事業に6億2800万円を計上するとともに、ドローンによるラストワンマイル配送の拠点整備や、AIを活用した物流イノベーションの実現に向けた実証事業を支援します。
さらに「物流標準化・データ連携の推進」を挙げたほか、「多様な担い手の確保・育成のための環境整備」として、予約受付、動態管理、求貨求車システム、原価算定システムなどの導入、無人フォークリフトや無人搬送機器など自動化機器による物流施設内作業の省力化への投資、テールゲートリフターなど荷役を軽減する効率化設備の導入支援に充てます。
このほか、鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じた財政投融資440億円(一般会計150億円、補正予算290億円)により、物流拠点集約、物流DX・GX投資(太陽光発電施設やEVトラック導入)を支援します。
「脱炭素社会の実現に向けた自動車分野のGXの推進」では、商用電動車の導入促進事業として、商用電動車の導入ガイドラインの策定、電動車の性能評価検証・公表制度の創設、バッテリー再利用の実証事業などに充てます。次世代大型車開発促進事業として、電費向上に資するブレーキ回生技術の開発実施、水素燃料電池車の燃費測定法の確立、水素燃料特性の解明や高効率利用、合成燃料使用時の車両信頼性などを検証します。
「自動車分野のDXや事業基盤強化等の推進」では、自動運転トラックによる幹線輸送実証事業や、自動運転(レベル4)法規要件の策定などを行い、自動運転物流の社会実装を後押しします。
外国人材受け入れについては、自動車運送分野での特定技能制度の対象分野への追加を踏まえて、適正な受入環境の確保を図ります。協議会を設置して特定技能外国人情報管理データベースの構築を行います。
自動車運送事業の安全総合対策事業として、衝突被害軽減ブレーキなどASV機器、過労運転防止のための先進機器、デジタコ・ドラレコ導入支援に加え、スクリーニング検査など健康起因事故防止への取り組みを支援します。
物流・自動車局以外では、鉄道(コンテナ貨物)、内航海運(フェリー・RORO船等)の輸送力を今後10年程度で倍増することを目指すモーダルシフトの強力な促進として、鉄道局が31フィートコンテナの導入、貨物駅のホーム拡幅、新幹線による貨物輸送拡大可能性調査を、海事局が物流効率化法の認定を受けた先進的な取り組みを行う際のシャーシ導入を支援します。