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掲載日:25.01.08

国土交通省 /「多重下請構造の実態調査」結果を報告~手数料は運賃から差し引く商慣習が明らかに

 国土交通省は、11月28日に第2回「トラック運送業における多重下請構造検討会」を開催しました。「多重下請構造の実態調査」の結果を報告し、今後の議論の方向性を協議しました。手数料は運賃から差し引く事業者が過半数を占める実態や、多重下請構造の全体像を誰も把握していないことが明らかになりました。

〇商慣習で依頼の事業者ルートが固定化
 実態調査は、第一種貨物利用運送事業者を対象とするアンケート調査と、マッチングサイトを運営する事業者や貨物運送事業者に対するヒアリング調査が行われました。
 アンケート調査は、第一種貨物利用運送事業者(2万7976者)を対象に9月末から10月に実施され、回答者数は1094者、回答率は3.91%と低い結果でした。調査に比較的協力的な層の回答から成っていることに留意する必要があるとしています。
 第一種利用運送事業者には、業務実態について、トラック事業者の選定、手数料の設定・収受方法、運送引き受け時の留意点、多重下請構造の中での立ち位置などを聞きました。
 「下請け手数料は運賃とは別に上乗せして収受する」と標準運送約款にも明記されていますが、アンケートの結果では、手数料の収受方法を「運賃から差し引いている」とする事業者が52.7%と過半数でした。その理由として「商慣習」を挙げる事業者が8割を超えました。「運賃とは別建てで手数料を請求」している事業者は5.0%という結果でした。手数料は運賃の5~10%との回答が6割を占めました。
 運送引き受け時の留意点については、配達日時、貨物の数量、運送区間は多くの事業者が確認している一方、附帯業務の内容や運送距離について確認する事業者は半数以下に留まります。求車側から提示される運賃と標準的な運賃を比較している事業者は約6割という結果でした。

 ヒアリング調査は、マッチングサービスを行う大手事業者やトラック事業者(計33者)を対象に9月から11月に実施されました。
 マッチングサービスは、マッチングの方法によってコンサルティング型と掲示板型に分類されます。コンサルティング型は案件毎にマッチングを図って手数料を収受し、掲示板型は月額定額の利用料を収受し、詳細は当事者間で交渉を行います。マッチングサイトが出てきたことにより、電話等で取次のみを行う事業者はほとんどいないという声が多数でした。専業水屋で法外な手数料を取っているケースは見たことがないとしています。
 マッチングサイトをよく利用する理由は「帰り荷の確保」が多く、マッチングサイトに掲載される案件の方が高い運賃の場合があるため利用するという声も挙がっています。一方、マッチングサイトを利用していない理由は、顔が見えない相手との取り引きになるので不安、どんなドライバーが来るのかわからず悪い評判も聞くため、などが挙げられました。
 トラック事業者が他のトラック事業者を利用する主な理由は、荷主・元請事業者との関係を維持する観点から、いったん受注することが通例になっているためとしており、必ずしも繁忙期に限られないことが明らかになっています。
 下請け手数料について、運賃の5~10%ほどを手数料として運賃から差し引くという回答が多数でした。引き受けた運賃から5~6割を抜くようなケースもありました。
 元請ではなく下請けとして運送を行う理由について、できれば元請や荷主と直接契約したいが、業界のルール違反になるためできないという回答が多数寄せられました。
 これらの結果について、運賃の中から手数料を差し引く商慣行や、手数料を運賃とは別に上乗せして収受することが未だ浸透していない状況の改善が必要としています。次回今年1月下旬の検討会で論点をまとめます。 


多重下請構造実態調査結果※この場合の手数料は、荷主から収受した運賃から実運送に支払う運賃の差益を指す
第一種貨物利用運送へのアンケート
○他の事業との兼業が約7割
○専業事業者の約7割が従業員10人以下
○運送依頼は電話が4割強
○手数料(※)は運賃の10%以下が8割
○手数料は「運賃から差し引く」が52.7%
○手数料は「運賃と別建てで請求」は5%のみ
○別建て請求の場合、約3割が運賃の10%以上収受
マッチング事業者からのヒアリング
○コンサル型と掲示板型がある
○スポット案件の依頼がほとんど
○利用しない理由は顔が見えない、悪い評判
○利用する理由は「帰り荷の確保」
○格安と言われるが高い場合もある
トラック事業者が他の運送事業者を利用
○運びきれない時に利用する
○一度断ると仕事が来なくなるので受ける
○運賃の5~10%を差し引くのが相場
○引受運賃の5~6割でおろすケースも
○下請は直接荷主と契約したいが業界のしがらみで出来ない