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掲載日:24.12.04

日本通運/半導体関連産業に対応した新倉庫「NX-TECT Hokkaido」が8月から稼働開始

 日本通運が北海道恵庭市に開設した半導体産業に対応した新倉庫「NX-TECT Hokkaido」を訪問しました。同倉庫は8月から稼働を開始しています。
「NX-TECT Hokkaido」は、新千歳空港から約20km、JR札幌貨物ターミナルから約22km、苫小牧港から約40kmと、航空・鉄道・海運の拠点からも近く、半導体製造にかかわる一般材料の保管業務を行う拠点として優位な立地にあります。

□恵庭~苫小牧にシャトル便運行へ
 同倉庫が所在する恵庭市に隣接する千歳市には、最先端ロジック半導体の開発・生産を行うRapidus(ラピダス)社の工場「IIM-1」の建設が進められています。
 「日本通運はラピダスのオーダーに応じた恵庭~苫小牧間のシャトル便を運行し、同社の門前倉庫機能のほか、製造装置サプライヤーの在庫拠点としての役割も果たす」(札幌支店・佐藤直樹北海道営業部部長)と語っています。
 新倉庫は、延べ床面積5万1096.69㎡、鉄骨造3階建てです。1階のトラックバースは24区画あり、区画ごとにシャッターを設備しています。当初マルチテナント型を想定していましたが、日本通運が一棟買いしたため、レイアウトは自由に行えます。
 倉庫部の天井高は5.5m、耐荷重は1㎡当たり1.5トン。貨物用エレベータ8基、垂直搬送機8基を備えています。1階から3階まで全館空調を完備し、温湿度集中管理により一定の温湿度から外れるとアラートが鳴る仕組みとなっています。
 冬季に降った雪を雪室に保管して夏季の冷房に活用する雪冷房システムを採用しています。非常用発電は稼働18時間で、給油により延長可能です。

□27年の半導体量産開始に向けてサポート
 ラピダス社は、23年2月に工場の立地を千歳市に決定しました。現在、25年の試作ライン稼働、27年の量産開始を目指しています。
 日本通運は、「IIM-1」への本州発の部材の輸送手配を行う『取りまとめ業務』の1社に選定されました。半導体のサプライヤーは西日本に多いことから、日本通運の岩国倉庫(山口県岩国市)とエフ・プラザ東京(東京都品川区)を中継基地として用材・部品を集約し、鉄道や内航船により北海道まで運航します。特に、半導体製造工程に必要な化学品、高圧ガスなどの危険品は自社船「ひまわり」を活用し、内容品に合わせて12フィートコンテナやISOコンテナを利用。輸送ルートも例えば九州からはトラック&レール&シーで行います。安全かつ効率的な輸送を実施することで、ラピダスの生産体制をサポートします。

□苫小牧西港区に危険物倉庫を建設
 ラピダスの27年量産に向け、日本通運は北海道~本州間の定期航路が多数就航する苫小牧西港区に、多種多様な危険品を保管する定温・多温度帯対応の倉庫を建設中で、25年6月の竣工を目指しています。日本通運は、これらの危険品を集中・専門的に取り扱います。
 石狩から苫小牧にかけての縦のラインは「北海道ヴァレー」とも呼ばれ、半導体製造に加え、太陽光、バイオマス、洋上風力など再生可能エネルギーのポテンシャルが高い地域です。「北海道は、これまで第1次産業が支えてきたが、今後は第2次・第3次産業も加わり、経済の活性化が期待される」(札幌支店・内田哲郎北海道営業部長)と語っています。


「NX-TECT Hokkaido」恵庭倉庫前景

24区画のバース

5.5mの天井高

雪室

雪冷房システムを図示した休憩室

自社船「ひまわり」

建設中の「IIM-1」

北海道ヴァレー(主要輸送拠点との連携)

内田氏㊧と佐藤氏