物流用語に強くなろう:
掲載日:24.07.03
ダブル連結トラック(Articulated Lorry)
ダブル連結トラックは、フルトレーラの1形態で、キャビンと荷台が一体化した大型トラック(単体)の後ろにトレーラの荷台部分を連結してけん引し、1台で通常の大型トラック2台分の輸送を可能とするものです。トラック輸送の省人化を促進し、燃料消費量やCO2排出量の削減効果が期待されます。
ダブル連結トラックは、2019年1月29日に特殊車両通行許可基準が改正され、フルトレーラ連結車(バン型)の車両の長さの上限値が21mから25mに緩和されたことで、各社での導入が進みました。全長が21mまでのときは、トレーラの長さは前部のトラック(単体)の長さより短いものでした。要件緩和により全長25mの車両まで使用可能となったことで、ダブル連結トラックは前部の大型トラックの荷台とほぼ同じ大きさのトレーラを連結することができます。このため、大型トラック(長さ12m)1台の2倍以上の荷物が積載でき、CO2排出量は約4割削減されます。
しかし、車両の全長21mを超えるフルトレーラ連結車を走行させる場合には、次の①から⑥の条件を全て満たす必要があります。
①車両の条件:フルトレーラ連結車のバン型であること
②通行経路の条件:特定の区間のみを通行し、
自動車専用道路以外を通行する区間が必要最低限の区間となるように設定すること
③車両装置の条件:衝突被害軽減ブレーキ、車両安定性制御システム、
車線逸脱警報装置など16項目の装置を装備すること
④積荷の条件:危険物貨物、大量の液体、動物の積載は禁止
⑤運転者の条件:大型運転免許業務に直近5年以上の従事、けん引免許5年以上の保有、
最低2時間の安全教育の訓練が必要(直近3年間無事故・無違反の者は条件が緩和され、
大型運転免許業務に直近3年以上の従事、けん引免許1年以上の保有、
最低12時間以上の安全教育の訓練が必要)
⑥通行の条件:追い越し禁止、隊列走行禁止など6項目の通行条件を遵守すること
19年3月に全国物流ネットワーク協会とその会員企業である西濃運輸、日本通運、日本郵便、ヤマト運輸の4社は、関東-関西間での幹線輸送におけるダブル連結トラックを活用した共同輸送(トラクタとトレーラは違う会社の車両の連結もある)を開始しました。NEXT Logistics Japanは、19年12月から関東-関西間でのダブル連結トラックを活用して、様々な荷主や物流事業者を組み合わせた「異業種混載」幹線輸送を始めました。
国土交通省資料より
19年の本格導入以来、運行区間は22年11月には約5,140kmに拡大されました。ダブル連結トラックが駐車可能な駐車マスも、高速道路のSA・PAを中心に24年3月末時点で152カ所313台分が整備されています。運行企業数も増加しており、23年6月末時点で15社が延べ270台の運行許可を得ています。
深刻なドライバー不足の中、ドライバー1人で大型トラック約2台分の荷物を運べるダブル連結トラックは様々な活用が期待できます。