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掲載日:24.07.03

公正取引委員会/荷主と物流事業者との取引に関する調査結果
~573名に注意喚起、優越的地位の濫用行為には厳正に対処

 公正取引委員会は、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から、荷主と物流事業者との取引に関する令和5年度調査の結果を公表しました。荷主向け3万名、物流事業者向け4万名を対象に書面調査を行い、現下のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案については立入調査を実施しました。書面調査及び立入調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのあった荷主573名に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付しました。

〇「コスト上昇分は物流事業者の自助努力で解決すべき」と拒否される事例も指摘
 荷主向けの調査は2023年9~10月に実施し、18,172名が回答(回収率60.6%)、物流事業者向けの調査は24年1月に実施し、20,103名が回答(同50.3%)しました。書面調査を踏まえ、労務費、原材料価格、エネルギーコストなどのコスト上昇分の価格を協議することなく据え置いたと疑われる荷主121名には、立入調査を実施しました。
 公正取引委員会が注意喚起文書を送付した573名の荷主は、製造業265名、卸売業・小売業178名、その他130名です。最も多かった業種は協同組合(主に農林水産物の販売事業を行う協同組合)の53名、次いで食料品製造業の40名、複数の卸売業・小売業(飲食料品卸、建築・金属材料卸、機械器具卸など)が続きます。
 独占禁止法上の問題につながるおそれのあるとされた行為類型は、「買いたたき」が最も多く239件(割合34.8%)、次いで「代金の減額」が142件(同20.7%)、「代金の支払遅延」が117件(同17.0%)、「不当な給付内容の変更及びやり直し」が106件(同15.4%)でした。
 独禁法上の問題につながるおそれのある主な事例として、「買いたたき」では、物流事業者が労務費等の上昇に伴うコスト上昇分の運賃引き上げを求めたにもかかわらず、「物流事業者が自助努力で解決すべき問題」と協議を拒否した事例(プラスチック製品製造業)などを挙げました。「代金の減額」では運賃の支払方法を手形払から現金振込に変更した際に、運賃を一律5%差し引いて支払った事例(物品賃貸業)を挙げています。
 公正取引委員会は、審査局内に設置した「優越的地位濫用事件タスクフォース(優越タスク)」において、上記の調査で物流事業者から寄せられた荷主の行為に関する情報も活用して、荷主と物流事業者の取引に関する優越的地位濫用事案を処理しています。23年度は、優越的地位の濫用につながるおそれがあるとして17件の注意を行いました。対象となった行為類型は延べ33件で、「不当な給付内容の変更およびやり直し」が12件と最も多くなっています。注意を行った17件のうち協同組合が3件、道路貨物運送業が2件でした。
 今後も、違反行為の未然防止に向けた取り組みを進めていくため、荷主と物流事業者との取引に関する調査を継続するとし、優越的地位の濫用に当たり得る具体的な事案に接した場合には、独占禁止法に基づき積極的かつ厳正に対処するとしています。

注意喚起文書を送付した荷主の業種別内訳

(注)業種名は、日本標準産業分類(令和5年7月告示総務省)による。割合は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、大分類ベースの割合とその内訳の和は一致しない。