物流用語に強くなろう:
掲載日:22.06.01
カーボンニュートラルポート(CNP=Carbon Neutral Port)
カーボンニュートラルポート(CNP)とは、水素や燃料アンモニアの大量・安定・安価な輸入や貯蔵を可能とする受入拠点としての整備や、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、港湾地域の面的・効率的な脱炭素化の取組みを通じて、港湾地域での温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指すものです。
我が国の港湾・臨海部には、CO2排出量の約6割を占める産業の多く(製油所、発電所、製鉄所、化学工業など)が立地しており、ここで使用する資源・エネルギーのほぼ全てが港湾を経由して輸入されています。港湾には日常的に多くの船舶や車両が出入りするほか、大量の電力を消費する冷蔵倉庫や物流施設等も立地しています。こうしたことから港湾地域におけるCO2削減の余地は大きく、2050年カーボンニュートラルを実現するにあたって、港湾における脱炭素化の取組みは極めて重要です。加えて、港湾は脱炭素エネルギーである水素や燃料アンモニアの輸入・貯蔵・配送拠点としての役割が大きいことから、国土交通省は脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化を通じて2050年までの港湾でのカーボンニュートラル実現を目指して、「カーボンニュートラル(CNP)」を形成するとしています。
CNPの目指す姿は、水素、燃料アンモニア等の輸入などの受け入れ拠点として港湾の整備、港湾オペレーションの脱炭素化、CO2削減の余地が大きい臨海地域の火力発電所、化学工業、製鉄所、倉庫等の臨海部に立地する産業と連携した港湾地域での面的な脱炭素化の取組みを、行政機関、港湾立地・利用企業などが連携して、効率的に脱炭素化を推進するものです。
昨年閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、水素の供給量を現在の年間約200万トン(推計)から2030年に最大300万トン、50年には2,000万トン程度に拡大することを目指すことを示しています。水素の供給コストを化石燃料と同程度の水準まで低減させる必要があります。大量・安定・安価な輸入・貯蔵を可能にするよう港湾における水素等の受入環境を整備して、大型船による大量一括輸送や大型タンクへの貯蔵などを可能とし、需要に応じて輸送する最適な水素サプライチェーンを国全体で構築する必要があります。
港湾オペレーションでの脱炭素化の取組みには、港湾荷役機械や港湾に出入りするトレーラへの燃料電池導入、再生可能エネルギー由来の電力による船舶への陸上電力供給、トレーラ向け水素ステーションの整備、冷蔵倉庫での液化水素の冷熱利用、配送拠点整備やオンドックレールを活用したモーダルシフトなどが挙げられます。
国土交通省は、20年に製油所、発電所、鉄鋼・化学工業が集積している小名浜港、横浜港・川崎港、新潟港、名古屋港、神戸港、徳山下松港の6地域7港湾をCNPとして抽出、21年から各地で課題調査を進めています。21年度には酒田港、鹿島港・茨城港、清水港、北九州港、苅田港の6港湾、および四国、沖縄の2地域でも検討会が設置されました。21年12月には、「CNPの形成に向けた施策の方向性」とCNP形成計画における基本事項などを盛り込んだ「CNP形成計画策定マニュアル(初版)」が国土交通省から公表されています。
CNP形成計画のイメージ
(国土交通省ホームページより)